手の陽明大腸経、20穴。
覚えやすい区切りに分け、
語源と漢字の意味を知り、
ゴロ合わせに頼る
と覚えやすくなります。教科書は文字ばっかりでイメージしづらいですよね。カラフルにまとめてみます。ぜひ参考にしてみてください!
目次
手の陽明大腸経 覚え方
私の経穴の覚え方は、
覚えやすい区切りをつけ、区切りの中で語源などで経穴を覚えて、
何度も反復して流れを覚えてしまい、
印象が残りにく、忘れやすい位置、重要なところをゴロ合わせなどで補足するようにしています。
👇参照記事
以下解説していきます!
商陽 二間 三間 合谷 陽渓
まずは、最初の5穴で区切ります。
指先から手関節までのツボです。
LI1 商陽 |
示指 爪甲角の近位外方1分 | 肺=商 の経脈を受け 陽経が始まる ※大腸経の井金穴 |
LI2 二間 |
第二中手指関節 遠位陥凹部 |
二個目の すき間 ※大腸経の榮水穴 |
LI3 三間 |
第二中手指関節 近位陥凹部 |
三個目の すき間 ※大腸経の兪木穴 |
LI4 合谷 |
手背 第二中手骨中点の橈側 |
第一、第二中手骨の 合う谷 ※大腸の原穴、四総穴 |
LI5 陽渓 |
タバコ窩 陥凹部 |
陽脈の 山渓のような陥凹 ※大腸経の経火穴 |
大腸経の指先部分です。
経絡が流れるのが、
人差し指の外側か、内側か
でちょっと悩みやすい部分ですが、経絡はつながっています。
覚えやすい経穴の位置をヒントに、導きましょう!
大腸経の場合はもちろん、一般人でも知ってる人は知っている、有名なツボ、合谷ですね。
大腸経の原穴であり、ツボ界の四天王四総穴であり、自分で押せば目の疲れは取れ、肩こりは和らぐ、なんて色々効果が言われているすごいツボです。
合谷のある、人差し指の親指側に、
商陽、二間、三間、合谷、陽渓があります。
二間、三間は位置と名前が覚えやすいですね。ほかの経穴も見習ってほしいものです。。
陽経では、井金穴、榮水穴、兪木穴、ときたら兪木の直後の4穴目に、原穴である合谷がくることも押さえておきましょう。
陽渓
解剖学的タバコ窩というくぼみにあるツボです。
ウソみたいな名前の部位「解剖学的嗅ぎたばこ入れ」って、身体のどこにあるか知ってる? https://t.co/swGVhvyjZg @itm_nlab pic.twitter.com/UctQ5peVY1
— ねとらぼ (@itm_nlab) May 24, 2018
タバコ窩って正式名称なんだぜ・・驚きですよね。
合谷から手首に下るところにあります。
このタバコ窩に煙草の粉(?)をいれて、燃やさずして、鼻や口に近づけて、香りを楽しむのが流行りだったことから付けられたそうで、
嗅ぎたばこで調べると、YouTubeで嗅ぎたばこやってみた動画があるし、
JTでは無煙たばことして売っているしで、今でも使われています。
ちなみに、陽渓と似た名前の「陽谷」「陽池」というツボが手首周辺にあってややこしいのですが、
「渓」
という文字のイメージがそもそも分からないですよね。
画像検索してみました。
谷に挟まれた水の流れる場所ってイメージでしょうか。
「風船あられの漢字ブログ」には、
氵(水)+奚(つながれた・細い)
=溪・渓(細い谷川。たに)
とあります。
つまり陽渓は、
陽気の流れる細い谷川ってことですね。
確かにタバコ窩、長母指伸筋腱と短母指伸筋腱という谷に挟まれた細い川・・といわれればそんな気がしてきます。
陽渓は大腸経の経火穴でもありました。
陽渓のイメージが、火の性質をもった細い谷川、ってイメージに仕上がってきてます・・!!
煙草がそもそも火っぽいし、個人的に経火穴の中で一番経火穴っぽいのは陽渓です。
「陽渓=タバコ窩」
覚えましょう!!
偏歴 温溜 下廉 上廉 手三里 曲池
LI6 偏歴 |
手関節背側 横紋上方3寸 |
端にあって偏った 巡歴する ※大腸経の絡穴 |
LI7 温溜 |
手関節背側 横紋上方5寸 |
陽明経の温かさが 間隙=郄に溜まる ※大腸経の郄穴 |
LI8 下廉 |
肘窩横紋 下方4寸 |
下 橈骨鋭肉隆起 =菱形・廉状 |
LI9 上廉 |
肘窩横紋 下方3寸 |
上 橈骨鋭肉隆起 =菱形・廉状 |
LI10 手三里 |
肘窩横紋 下方2寸 |
肘髎から三寸 |
LI11 曲池 |
肘を曲げて 出来る線の端 |
肘を曲げる 気の集まる池 ※大腸経の合土穴 |
陽渓と曲池を結ぶ線上の6穴です。
陽渓はタバコ窩でした。
曲池は、肘を曲げたら出来る線の端にあるツボです。
美術書によると三角筋の頂点は必ず曲池(ツボ)付近を向いているのだそうですぞ。さんかくきんむずかしいのでこれだいじなまめちしき。ハウツー本で間違ってる人よくみるんや… pic.twitter.com/BgzCiMxZph
— 水井@ひかり番外編なう (@321akiko) September 17, 2016
曲池は調べるとSNSで映えた写真として見かけます笑 ポーズ決めやすそうですよね。
骨度法で、手関節横紋から肘窩までは12寸でした。
つまり陽渓~曲池間が12寸ということです。
半分の6寸で、手関節横紋から数えるか、
肘窩横紋から数えるかが分かれます。
見ていきます。
偏歴 温溜
手関節横紋、陽渓から数えるツボ2穴です。
偏歴 へんさんれき
(手関節横紋上方 3寸)
温溜 おんるごぼごぼ
(手関節横紋上方 5寸)
突っ込みどころの多い語呂合わせですね。見ていきます。
しんにょうの遍歴は現代でも使われる熟語です。
1 、広く各地を巡り歩くこと。「諸国を遍歴する」
2 、いろいろな経験を重ねること。「アルバイト遍歴」「男性遍歴」
他の経と連絡する絡穴らしい名前・・と思ったら、経穴のへんれきは人体にあるからか、にんべんの偏歴でした。
へんれき へんさんれき
と唱えるとラップ♬のような語呂ですが、
へんにれき でも へんよんれき でも へんごれき でもしっくりこないけど、
へんさんれきだと、いとへんの編纂(へんさん)何回もしたんだな、みたいな意味に思えてくるし、言いやすい。それだけです。笑
炭酸のお風呂というか・・笑
温溜ごぼごぼ(GOBOGOBO)、
5(GO)寸。
郄(GEKI)穴!
で、覚えています。。
急性症状を撃退してくれそうなアツイツボです!!
下廉 上廉 手三里
肘窩横紋、曲池から数えるツボ3穴です。
手をギュッとしてむきッとさせると、
下のエリアの筋肉がちょっと三角っぽい形で出ます。
それが、「廉」で、
腕をだらんとした時、
下側(足側)にあるのが下廉、
上側(頭側)にあるのが上廉です。
ちなみに「廉」で画像検索するとジャニーズのイケメンが出てきます。人名にも使われますね。
風船あられの漢字ブログによれば、
『廉(レン)』lián は、正しく整う様子を表す形声文字です。
漢字の足し算で覚えるならば、
广(家)+兼(合わせた穀物)=廉
(家の中で合わせた穀物を区別する。正しく整う。けじめ。かど。欲張らない)です。
「兼」という字がそもそも二本の穀物を持つ様子を表すそうで、
「廉」はそれを整理するもしくは整理した状態、というのが元々の意味のようですね。
筋肉を指している時は、「かど」という意味で使われていると考えてよさそうです。
部位が分かったところで、覚え方です。
ゲレンデ四駆(下廉 肘窩横紋下方4寸)
常連さんなら(上廉 肘窩横紋下方3寸)
三里すぐ走る(手三里 肘窩横紋下方2寸)
覚えやすい人だけ使ってください(`・ω・´)
ゲレンデ四駆というのは、雪のゲレンデを走る四輪駆動者車のこと。
あのベンツにも、四駆のゲレンデヴァーゲンという名の高級車があります。ベンツの中でも1番高いと言える車みたいです。車好きなら知ってますかね?
雪国富山で育った私には、
「雪の道路は4WDで走るがいぜ」と両親から刷り込まれてなじみがあるのですが・・
後輪の2輪だけが動く一般的な車に対して、四輪すべてに動力があって、雪道などの滑りやすい道を走るのに最適なのが四駆です。
まさにゲレンデ(下廉で)=4駆(4寸)!
そして常連さんのような慣れた人なら、三里という道もすぐやちゃ(上廉の直上1寸)。
という語呂です。(~がいぜと~やちゃは富山弁)
ここまで車の話まで出して書きましたが、
フツーに「下廉、上廉、手三里=よんさんに」で覚えられるなら、それでいいと思います笑
手三里は押すと圧痛がある(私だけ?)ので、押してても覚えられます。
肘髎 手五里 臂臑 肩髃 巨骨
LI12 肘髎 |
外側上顆上縁 外側顆上稜の前縁 |
肘の 髎=くぼみ |
LI13 手五里 |
曲池~肩髃上 肘窩横紋の 上方3寸 |
天府を下り 五寸 |
LI14 臂臑 |
三角筋前縁 曲池の上方7寸 |
臂=腕 臑=三角筋 |
LI15 肩髃 |
肩峰外縁の前縁と 上腕骨上結節の間 |
肩 髃=骨が 出会う |
LI16 巨骨 |
鎖骨の肩峰端と 肩甲棘の間 |
鎖骨=巨骨 の端 |
上腕から肩にかけてあるツボです。
大腸経ではこの5穴が存在感薄くて・・
曲池から上に飛び出て君臨する、にくづきへんほねへんゴレンジャーと思って、5穴しっかり覚えましょう。
肘髎 手五里 臂臑
肘髎は、「肘」という漢字が使われる経穴は360穴中ここだけなので、
カルタのように「肘」という漢字を見たら飛びつけるようにしておきましょう。
手五里こそ3寸
(肘窩横紋上方 3寸)
臂臑 ひじゅ ひちじゅ
(曲池から 7寸)
手三里というツボは2寸でしたが、ここにきて、手五里というツボが3寸とはなんぞや、という怒りの覚え方です。
ちなみに、似た名前で足五里、足三里なんてツボがありますが、、
手三里(大腸経) | 肘窩横紋 下方2寸 |
手五里(大腸経) | 肘窩横紋 上方3寸 |
足三里(胃経) | 犢鼻(胃経)下方3寸 |
足五里(肝経) | 気衝(胃経)下方3寸 |
名前が五里でも全部3寸でとります。
手三里だけがイレギュラーだっただけですね。
臂臑はひちじゅ7じゅ7寸で覚えています。
臂は腕を指す漢字で、肘髎に引き続きこの経穴だけに使われます。
臑は三角筋を指す言葉で、他にも臑会、臑兪という経穴がありますが・・
肩よりも腕=臂側 にあるのがこの臂臑です。
大腸経は腕を走る三つの陽経では一番前方にあるので、臂臑は三角筋の前方をはしることにも注意しましょう。
肩髃 巨骨
肩のツボ2穴です。
腕を上げた時、肩峰の前方にできる陥凹部が肩髃です。
髃という字、これもまた、この経穴にしか使われません。
髃は肩甲骨の肩峰を指す意味のようで、
偶数とか、遭遇のつくりと同じ「禺」には、合うという意味があり、
上腕骨と肩甲骨がぶつかることを指している漢字だと考えてよさそうです。
(ちなみにぶつからない方の肩峰後方陥凹部は、三焦経の肩髎というツボです。)
鎖骨をなぞって肩甲骨とぶつかるのが巨骨です。
だいぶ肺に近づいてきました。ここから支脈が分かれ始めて、肺をまとって大腸に属します。
「巨」という漢字は巨人とか巨大とか、大きいのイメージがありますが、
風船あられの漢字ブログによれば、本来は定規の意味だそうで、鎖骨を定規に例えていると言えます。
たしかに体の部位でいえばきれいな真っすぐ骨で定規っぽく見えてきます。
定規で線を引くかのように、鎖骨をなぞって肩側でぶつかる経穴が、「巨骨」ということですね!
天鼎 扶突 禾髎 迎香
LI17 天鼎 |
輪状軟骨と 同じ高さ 胸鎖乳突筋 の後縁 |
天=頭を支える 鼎=三本足の入れ物 |
LI18 扶突 |
甲状軟骨上縁と 同じ高さ 胸鎖乳突筋の 前縁と後縁の間 |
扶=手で支える 突=喉仏 |
LI19 禾髎 |
人中溝の 中点の高さ 鼻孔外縁の下方 |
禾=稲の穂のように ヒゲの生える 髎=鼻孔の穴 |
LI20 迎香 |
鼻唇溝 (ほうれい線)上 鼻翼外縁 中点の高さ |
鼻が香りを 迎える |
首から顔にかけてのツボです。
首のツボの位置がとてもわかりにくいです。。
首のツボについては、甲状軟骨と輪状軟骨どちらの高さなのかと、胸鎖乳突筋のどこに位置するかがややこしいポイントですね。
別記事にて胸鎖乳突筋周辺のツボを合わせて覚え方を書いていますので見てみてください。
禾髎から迎香に行くときに左右が交差することも注意です!!
手の陽明大腸経 流注
手の陽明大腸経は、示指外側端(商陽)に起こり、
示指外方→第1・2中手骨間の手背側(合谷)に出て、
陽渓→橈骨に沿って肘窩横紋外端→肩関節→大椎へ。
肺をまとい大腸に属す。
大鎖骨上窩で別れた支脈は、頸部を上り、頬を貫き、下歯に入り、
帰り出て口をはさみ、人中で左右交差し、尾翼外方で足の陽明胃経につながります。
ちなみに、自分的にはアルプス一万尺のメロディで大腸経収まります笑
国家試験問題にチャレンジ
(はき第25回-104)[経絡経穴概論]
国家試験では答えに(〇寸)なんて書いてありません。。そこも導くとなるとかなり難しいですよね。おまけでつけました。 手関節横紋から肘窩横紋までが12寸で、大腸経の郄穴である温溜は手関節横紋から5寸でした。 よって温溜から肘窩横紋までが7寸。 肘窩横紋の曲池から臂臑ひまでが7寸。よって7寸+7寸=14寸の距離にある選択肢が正解です。
(あ第17回-112)[経絡経穴概論]
大腸経では、最後の迎香は左は右に行き、右は左に流中します。
(あ第3回-120)[経絡経穴概論]
肩髃の「髃」は骨が合わさるという意味で、肩峰と上腕骨が合わさる様子を示した感じで、大腸経の肩髃にしかつかわれない漢字でした。しっかり押さえましょう。
(はき第6回-123)[経絡経穴概論]
合谷は四総穴、原穴ですが、五行穴ではありません。ちょっと一瞬悩みますよね。
あくまで私流の覚え方ですが、勉強に勤しむ学生さんのお役に立てれば幸いです!
他の経脈の覚え方はこちら↓
解剖経穴についてはこちら↓
4月から鍼灸学校進学決まり、ツボを覚えるのに利用させていただいています。とても分かりやすくて、覚えるのがはかどります。ありがとうございます。
表の中の二間の説明ですが、滎(火)穴 は (水)ではないでしょうか?
ありがとうございます!学校入る前からそんな指摘ができるのが素晴らしいです。
修正しました。全く気付かず・・ありがとうございました。4月から頑張ってくださいね。