鍼灸学生のともつぼです。
血液検査や尿検査でがんを調べる腫瘍マーカー。
アルファベットで、覚えにくいですよね。
今回は腫瘍マーカーについて覚え方をカラフルにまとめて解説します!
目次
腫瘍マーカーの一覧
臨床医学各論の教科書に載っている腫瘍マーカーの一覧がこちら。
・・・めちゃくちゃに多くて見づらいです。
この中でも、重要度が高く、出題頻度が高いものをピックアップしますので、ぜひそれを覚えていってください!!
※ちなみに、臨床医学各論と総論の教科書が2021年大幅に追加資料を出しましたが、
そこには腫瘍マーカー検査の項目が増えていて、
①AFP②CA19-9③CA125④CEA⑤PSA⑥SCC⑦CA15-3
とあります。これも参考にして書いてみます。
AFP 肝がん
肝がんの腫瘍マーカー、AFP=αフェトプロテインは、
お母さんのおなかの中にいる胎児の肝臓で産生され、
母体と胎児の間を行き来するのに関わるとされるたんぱく質だそうですが、
生まれた後は次第につくられなくなり、健康な人の血液にはほとんど存在しません。
しかし、炎症があったり、がん化した肝細胞で大量に作られるため、肝がんの腫瘍マーカーとして検査されます。
肝がんに対して約63%の陽性率を示すそうです。(引用元:http://www.tokyo-medical-clinic.com/marker.html)
そんな肝がんマーカーのAFPの覚え方は、「肝」という漢字に「AF」が隠れている!という覚え方です。
また、肝がんの腫瘍マーカーには、他にも、
PIVKA-Ⅱ
(protein induced by vitamin K absence or antagonist Ⅱ
ビタミンK依存性の第Ⅱ凝固因子であるプロトロンビンが、
ビタミンK不足の状態で産生されたタンパク質)
もあり、AFPと並行して調べることが多いみたいです。
AFPは肝がんだけでなく腎がんのマーカーでもありますが、
PIVKA-Ⅱは肝臓の異変オンリーのマーカーなので、プラスで覚えておくGOOD。
この腫瘍マーカーは血液凝固と合わせて覚えると覚えやすいです。
引用:生理学の教科書
ビタミンKが不足すると、血液凝固因子Ⅱのプロトロンビンからトロンビンができず、出血傾向が亢進します。
不足の結果、プロトロンビンがトロンビンでなくPIVKA-Ⅱになります。
このPIVKA-Ⅱが肝臓の異変で出てくるマーカーになる、ということです。
腫瘍マーカーでは使われることのない(前述のリストさがしてもないです)ギリシャ数字のⅡが、
ほとんどが肝臓で作られている血液凝固因子の、Ⅱを指すと理解していれば、
なんか肝臓の病気なのかな~と思い出せそうな気がします。(ゴロはない)
CA19-9 すい臓がん
すい臓がんの腫瘍マーカー、CA19-9=Carbohydrate antigen 19-9は、
糖鎖抗原の一種で、正常胎児で多量に産生され、正常成人でも微量に検出されます。
糖鎖は細胞膜から目印のように付いているので、細胞の種類だけ糖鎖の種類がある、といってもいいくらい。
CA○○というマーカーが前述の一覧でもたくさ~~んあります。
このCA19-9は特に、すい臓がん、胆のうがんや胆管がんで数値が高くなるマーカーで、
すい臓がんの陽性率80%、胆のうがん60%と高い陽性率を示します。
そんなCA19-9の覚え方は、
CAさん、199席空いたん?
199席という半端で膨大な数の席をキャビンアテンダントさんに空席か聞いてくる、
ちょっとクレーマーっぽいお客さんのセリフっぽいゴロ合わせです。
いらすとやさんのCAさん、この語呂と組み合わせるとクレーマーに対して真顔になってるな・・って感じになってますね。。
すい臓&胆嚢で 空いたん です。
ほかのCA○○で言えば、CA125が卵巣がんで陽性率70%なのも覚えておきたいところです!
CEA 胃がん、大腸がん、腺がん
胃がんや大腸がんなどの腺がんの腫瘍マーカー、CEA=carcinoembryonic antigenは、
胎児の消化器にて発見されたことから、
癌胎児性抗原と呼ばれるたんぱく質。
以下の癌で検出される腫瘍マーカーです。
大腸癌、胃癌、膵癌、肺癌、乳癌、胆道癌、子宮内膜癌、卵巣癌、
肺炎、気管支炎、結核、漬瘍性大腸炎、肝炎、肝硬変、喫煙者
色んな癌がありますが、消化器系の癌で特に陽性率が高く、
大腸癌で70%、胃癌で60%、膵癌で60%・・というのが主なところです。
こんなに該当しちゃうと、例えば、国試で疾患に合う腫瘍マーカーを選ぶ問題。
国試はりきゅう18回
「60歳の男性。軽度呼吸困難で来院。腹部膨隆と女性化乳房とがみられ、上部消化管内視鏡検査で食道・胃静脈瘤を認める。
血液検査で血小板と白血球に減少が認められ、C型肝炎ウィルス陽性であった。」
この疾患に合併する悪性腫瘍の早期発見に有用な腫瘍マーカーはどれか。
1.AFP
2.CEA
3.CA19-9
4.PSA
この問題、肝臓の所見があり、肝がんの腫瘍マーカーのAFPが答えですが、
悪あがきなのかもしれないですが、肝炎や肝硬変のマーカーとなり得る?CEAも良さそうっちゃ良さそうに思えてきます。。
他にも腫瘍マーカーを選ぶ問題で、
国試はりきゅう23回
癌と腫瘍マーカーの組合せで最も適切なのはどれか。
1.肝細胞癌―――HCG
2.胃癌―――――CEA
3.食道癌――――CA 19-9
4.肺癌―――――PSA
これも、CEAが正解なんですが、
他は果たしてホントに違うのかが受験会場で分からなくなりそう・・?
全部覚えておけばよかった!ってなりそうです。
ですが、腫瘍マーカーの専門家のための試験であればまだしも、深く考えすぎずに、
大まかには、腺癌が消化器系、分泌する臓腑の癌なので、
CEAは消化器系、胃腸系の腫瘍マーカー
と押さえておけば、とりあえずは大丈夫なのではないでしょうか。。
そんなCEAの覚え方はがこちら。
腸&胃
腸&胃でC&Eで、
CEAを覚えようという語呂です!
PSA 前立腺がん
前立腺がんの腫瘍マーカー、PSA=Prostate-specific Antigenは、
前立腺で産生されるタンパク質で、精液中で精子の運動性を高める役割があります。
健康な男性では、PSAは前立腺内にとどまり、血液中に出てくることはないのですが、
がんの発生によって、前立腺から血管にPSAが流れ込むことで、PSAの数値が上昇すると言われています。
前立腺を英語で言うとProstateなのが分かれば、
がんマーカーのPSAが前立腺がんか?!と導ければよいですが、
他の覚え方をご紹介。
ぱさぱさなパパの前立腺がん
年代が上の男性に起こる癌なので、乾燥してぱさぱさしてそうなパパ、という語呂合わせにしてみました。
PSAをぱさと読み、パパのPにも掛けている、という語呂です。
SCC 扁平上皮がん
扁平上皮がんの腫瘍マーカー、SCC=squamous cell carcinomaは、
特に扁平上皮癌において、血清中に高く検出される癌関連抗原です。
子宮頸部、肺、皮膚、食道
などの扁平上皮癌で血清中に高濃度に存在します。
扁平上皮癌は扁平上皮組織があるところにできる癌なので、
今一度単層扁平&重層扁平上皮を復習しておくといいかもです。
そんな扁平上皮がんマーカーのSCCの覚え方は、
扁平足でサッカー
サッカーの綴りはSOCCERで足を使って蹴るので、
扁平SCそくでSOCCERという語呂です。
SCC=扁平上皮癌と思い出せても、扁平上皮癌にどんな癌があるか思い出せないと意味がない語呂なので、扁平上皮癌も合わせて覚えてしまいましょう!
以上、参考になれば幸いです!
国家試験問題にチャレンジ
(はき第29回-43)[臨床医学総論]
前立腺がんの腫瘍マーカーがPSAで正解です。 AFPは肝がん、CA125は卵巣がん、SCC抗原は肺がんなどですね。
(はき第23回-44)[病理学]
正解は胃癌とCEAですね。 HCGは卵巣がんや精巣がん。 PSAは前立腺がん、CA19-9は膵がん。の腫瘍マーカーです。
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