解剖学。
理解するのにめちゃくちゃ苦戦させられた、鍼灸学生tmotsuboです。
教科書の文章だけ、一方向からの二次元の図だけでは分かりづらいですよね。
今回は胎児循環についてカラフルにまとめ、
鍼灸・あん摩マッサージ指圧師の国家試験に出題された問題で力試ししてみてください。
鍼灸学生以外にも解剖学すべてを学ぶ学生さんのお役に立てれば幸いです!
目次
胎児循環カンタン覚え方
胎児循環の流れを動画にしてみました。適宜止めながらご覧ください!
以下細かく解説していきます。
動脈管で肺をスキップ
お腹の中の胎児は、羊水の中にいるので、肺呼吸をしていません。
肺循環がなく、肺もしぼんでいるので、
大静脈に戻ってきた血液のほとんどは右心房から卵円孔を通って左心房→左心室→全身へ向かうし、
右心房から右心室に行った一部の血液も、肺には行かず、
右心室→肺動脈からスッと大動脈へ抜け体循環へ向かう近道:ボタロー管(動脈管)を通って全身に向かいます。
動脈管=ボタロー管=肺をスキップして大動脈弓へバイパス
(見つけたイタリア16世紀の解剖学者ボタローさんから)
肺は酸素と二酸化炭素を交換する器官ですが、
酸素はお母さんから胎盤を通じてもらって、二酸化炭素も胎盤へ送ることで排出しています。
肺をスキップしても何ら問題はないです。
ちなみに「ボ」が見えてくるからボタロー管と覚えています。
静脈管で肝臓をスキップ
酸素だけではなく、赤ちゃんが育つ為の栄養も、胎盤から送られます。
その栄養は、お母さんの肝臓で解毒・消化済み。
赤ちゃん自身の肝臓で解毒する必要がないので、
アランチウス管(静脈管)を通って胎児の肝臓を素通りし、大静脈に合流します。
静脈管=アランチウス管=肝臓をスキップして下大静脈へバイパス
(同じくイタリア16世紀のアランチウスさんから)
お母さんがランチしたら「あ!らんちだ」と胎児のテンション上がりそうな名前ですね。
お母さんが赤ちゃんの分も栄養や酸素を取り込まないといけないのが分かります。
胎児循環ややこしいものまとめ
まとめると、胎児はお母さんに、
酸素と栄養
をもらえちゃうので、それに関わる臓器である肺と肝臓をスキップするバイパスの名前を覚えておこう!ということです。
お母さんからもらう | 胎児が使わない臓器 | バイパス | 行先 | 備考 |
酸素 | 肺 | ボタロー管 (動脈管) |
大動脈弓 | 動脈は 英語でArtery |
栄養 | 肝臓 | アランチウス管 (静脈管) |
下大静脈 | 静脈は 英語でVein |
ボタロー管が動脈A管で、アランチウス管が静脈V管なのが先頭の文字が逆な感じでややこしいですが、逆だと覚えておきましょう。
そして、私は臍動脈と臍静脈、どちらがどっちに向かうんやら分からなくなりそうになって、2本なのはどっちか?なんて問題もミスりがちなのですが。。
心臓から送り出されるのが動脈
心臓に戻っていくのが静脈
体全身そのように名付けられているので、
胎児の心臓から送り出されていて、内腸骨動脈から
胎盤に向かうのが、臍動脈。
胎児の心臓へ戻っていくのが、臍静脈。です。
ちなみに臍静脈という名前ですが、
お母さんの胎盤から酸素と栄養をたっぷりもらって運ぶ血管なので、動脈血が流れ、
臍動脈という名前ですが、
お母さんの胎盤へ二酸化炭素と老廃物を送る血管なので、静脈血が流れていることも、ややこしいので理解しましょう!!
臍動脈 | 胎児の心臓 から送られ 胎盤へ |
二酸化炭素と老廃物 が含まれる |
静脈血 | 2本 |
臍静脈 | 胎盤から 胎児の心臓 に戻っていく |
酸素と栄養 が含まれる |
動脈血 | 1本 |
出産により、おぎゃあーと肺呼吸の開始をきっかけに、
肺に空気が入って肺組織が大きく広がると、そこではじめて肺循環に切り替わります。
へその緒も切られてお母さんから栄養ももらえなくなり、自分の口からゲットして消化解毒吸収しないといけません。
まず、動脈管(ボタロー管)のバイパスの役割が終わって動脈管索という結合組織のヒモに、
卵円孔は閉じて卵円窩になります。
また、臍動脈は臍動脈索、臍静脈は肝円索、静脈管(アランチウス管)は静脈管索というヒモにそれぞれなります。
臍静脈だけ名前の変貌ぶりがヤバいです。
「さいじょうさんが肝炎になった」
みたいなゴロで。
肝炎になりそうな人名ぽいのは、サイドウさんとかジョウミャクカンさんよりサイジョウさん一択です!
リアルな位置を確認すると、、
肝臓間膜のおへそ側が、臍静脈のなごりの肝円索、
下大静脈に注いでいた静脈管のなごりが、静脈管索、ということで、こちらも合わせて確認しておきましょう!
国家試験にチャレンジ
(はき第17回-24)[解剖学]
動脈管は肺動脈と大動脈弓を繋ぎますので、上行大動脈ではないですね。一見正しそうに見えます。引っかからないように注意ですね。
(はき第5回-15)[解剖学]
臍静脈はひも状の結合組織、肝円索に変わります。索とは縄、という意味があるようですね。肝円索が選択肢になくて、索状の結合組織とあるのは難しいです。
(あ第23回-21)[解剖学]
臍静脈は肝鎌状間膜を通り、生後は肝円索となって肝鎌状間膜の一部になります。
(あ第11回-31)[解剖学]
正解は肺静脈ですね。 胎児循環においては、臍静脈が動脈血を含みます。
以上、参考になれば幸いです!!
動脈、静脈の分枝はこちら
臍動脈は臍静脈索ではなく、臍動脈索になるのでは?
図が間違ってますね・・・ありがとうございます!!